目玉焼き

祖母と暮らしていたころの思い出話。

朝から大量の朝ごはんを用意してくれる祖母と二人暮らしをしていたのは20代前半のことである。祖母の家と通っていた専門学校が近いということで、居候させてもらっていた。

美術の専門学生だった私は規則正しい生活などしておらず、朝ごはんを抜きたい気分の時もおおいにあったが、毎朝きちんと用意してくれるので頑張って食べていた。

朝ごはんの準レギュラーメニューとして目玉焼きが出てくるのだが、祖母のつくる目玉焼きは「両目玉焼き」。つまり卵2個を使う。ボリューミーなキャベツやレタスが添えられた目玉焼きプレートに、厚切りのトースト、昨晩のおかずの残り、またはごはんとお味噌汁、レギュラーメニューの漬物が並ぶ食卓。頑張ってはみたものの食べきれないときも多く、残りはその昼、その夜へと受け継がれる。

祖母の家は、近くにある父の会社の食堂としての機能もあった。父とふたりの弟たちは一緒に働いていたので、ランチタイムは家族が揃う。今思うと、祖父に先立たれた祖母は一人暮らしとはいえ、毎日息子たちに昼食を作っていたことになる。土間があり、階段下には漬物専用スペースがある暮らし。毎日ぬか床をかき混ぜ、梅を干し、冬には白菜を漬ける祖母の姿を覚えている。近所には商店街があって、お豆腐屋さん、魚屋さん、お肉屋さん巡りする、スーパーとは違った買い出しスタイルを私が知ったのは、この居候時代だ。

ある日のこと、私は祖母にお願いした。

「おばあちゃん、明日から目玉焼きは片目(カタメ)でいいわ~。朝から卵2個も食べられへん。」

「はいはい、了解。」と祖母。

次の日の朝、硬め(カタメ)に焼かれた(ウェルダン状態)両目玉焼きが食卓に。

半熟が好きなんすけどー(;^ω^)!

どうやら私のお願いの後半部分はスルッと流されたようである。この誤解を二人で大笑いしたのを今でもはっきり覚えている。

今年は祖母の17回忌だ。

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